PDFやFAXで受注した発注書の自動処理

今回は2パターンを想定、メールに発注書が添付されてくる場合とFaxで来る場合です。いずれの場合も手書きではなく、ExcelやWordでもともと作成されているものを想定しています。

パターン1.メールに添付されている場合

全体の流れはこんな感じで。

Power Automateでメール受信した際の条件には、①添付ファイル付き ②特定の送信元メールアドレス ③特定の件名 であった場合に、添付ファイルをSharaPointのフォルダへコピーを自動するようにしておきます。

フォルダにコピーが作られるとそれがトリガーとなり、AI Buiderがファイルの中身を読み取って、発注社名、発注日、発注物と数量などを自動的に読み込みます。(そのための準備としてAI Buiderには予め最低5ファイルを読み込ませ正しく中身が抽出できるようにテストしておきます。弊社でテストした際は、”請求書”をAI Builderの画面から選び項目を設定後、実際のファイルを読み込ませました。)

AIで読み取った各項目は、予め用意しておいたExcelファイル(SharePoint上に保管)にPower Automateが自動で転記していきます。
これで発注書の内容は一覧形式で確認でき、また、データ分析(月別や年間、顧客別などの発注数や傾向)の元となるデータベースとしても使用できるようになります(ExcelではなくMicrosoft ListやDataverseを使うこともできますが、この例では一般的にユーザーが慣れているExcelを使っています。またSharePointにExcelファイルを保存することでアクセス権限のある人だけ閲覧・編集ができるようにできます)。

更に並行処理として、読み取った内容をメールで担当者に通知をする設定にしておきます。これは任意の複数のメールアドレス宛でもよいですし、自分だけに通知するなど、設定で好きなパターンで作ることができます。またTeamsを使っている企業の場合は、メールではなくTeamsのチャネルに投稿することも可能です。
Power Automateの設定はざっくりこんな感じで作ります。
(以下のサンプルは発注書ではなく請求書で読み取りフローを作ったので請求書=発注書として読み替えてください。)

AI Builderでは同じファイルをPDFとJPEGそれぞれに保存したものをトレーニングをしましたが、両方ともきれいに項目の読み込み=抽出に成功しました。あとはこれをベースにバリエーションの処理を加えてあげることで、好みの自動処理が作れるようになります。

パターン2. Faxで送られてきた発注書の自動処理

取引先がFaxを使っているためFaxをやめられないという会社も多いと思います。一番手っ取り早いのは、Microsoft 365のFormsで取引先相手毎にオンラインフォームを用意して取引先がPCのみならずスマホからも発注ができるよう利便性を上げつつ、受注企業側ではPower Automateで発注内容をExcelやMicrosoft Listなどに蓄積することで手作業を減らすのが良いのですが、過渡期はどうしてもFax受注が残るため以下のようなフローである程度自動処理を組み、部分的ではありますが省力化する方法もあります。

ここではパターン①と違って、並行処理にAI Builderが読み取ったデータから発注書の内容に応じた納品書を作るまでのフローを描いてみました。

この例ではFaxで受信した紙の発注書を人がPFU社などの安価なスキャナーで読み取り、SharePointやOneDriveのフォルダに自動保存して(この部分はスキャナーで読み取ったファイルを予め保存先フォルダを指定しておくだけ)、フォルダにファイルが保存されるとAI Builderが内容を読み取り、Excelの一覧表に保存します。

並行処理には読み取った項目を予め用意しておいた納品書テンプレートに自動で発注元社名や発注品名や数量金額を転記する処理を設定しておきます。
納品書テンプレートをExcelで作ることで、自動転記された発注品名をVLOOKUPという関数を使い同じファイル内の品名一覧シートを参照し突合、単価に品名一覧に記載されている単価を転記する、といった設定にしておきます。

ファイルは作成後任意の場所に自動保存されますので、例えば、上記のフローに自動保存後担当者にファイル場所へのリンク付きメールを送るといった処理を追加しておけばファイルを探す時間を踏むめた作業時間の省力化を図ることが可能です。

Faxの紙をいちいちスキャンするのが面倒な場合は、Faxをメール送信してくれる外部のインターネットFAXサービスが現在は安価に提供されているのでそれを導入することで、パターン1.のようにメール受信後自動で処理してくれるフローに乗せられるようになり紙をスキャンする作業をなくすことができます。

取引先によっては発注書のフォーマットが異なったりする場合もあると思います。その場合はAI Builderで取引先ごとの発注書サンプルを読み込ませ、データ蓄積先は同じExcelやListに貯める用のフローを作ることで、発注書一覧を一つにまとめることができます。

AI Builderの価格はマイクロソフトのウェブサイトによると月5万円ほど(Power AutomateはMS365のE3以上のプランが必要)ですので、現在こうした作業をPower Automate+Ai Builderに行ってもらい、正社員や派遣社員の方には別の業務を手伝ってもらうことでコストメリット(費用削減だけなく業務全体の改善や効率化)を感じていただけると思います。
こうした仕組みの導入では一度に現在のフローを作りこまず、まずは簡単なフローを作り狙い通りツールが動くか検証(POC)を行った後、既存業務で担当者の方行っている細かい作業フローや要望をヒヤリングしながら、2-3カ月かけて完成版を作りこんでいくことを弊社では推奨しています。

弊社では企業の業務フローに応じた企業のDX化を支援しております。また年度末の余り予算での作業省力化のご相談にも応じておりますので、ご興味のある方はこちらのお問い合わせフォームからご連絡ください。

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